国内の生命保険市場
生命保険大国日本
個人ベースでの保障総額は857兆円(
日本の生命保険業界の市場規模は、約40兆円(
つまり生命保険市場は完全に飽和状態にある。
そもそもサービスは行き渡っている。少なくとも消費者はそう考えている。
マーケットとして保険市場を見た場合、サービスは十分に行き渡っており(実際に良い商品かどうかが別)少なくともまともに販売していて売れるマーケットではないという事です。
転換期を迎えている生命保険業界
国内で厚生労働省に登録されている生命保険会社の数は42社(平成28年)ある。
そのうち外資系生保が16社、損保系生保が4社、インターネット専業が2社となっている。
伝統的なセールスレディによる販売に加えて、最近では、外資系生保の男性外交員や損保系生保の代理店、銀行窓販、ネット販売、来店型など、消費者の選択肢はますます広がっている。
また近年、スマートフォンの普及などで消費者はいくらでも情報を取得できる時代になっているため、消費者のレベルが上がっている。
消費者の保険に対する知識水準があがり、一方で所得が伸びないことなどを背景に、生命保険商品を積極的に見直そうという人も増えてきており、来店型保険ショップに足を運ぶ消費者も増加傾向にある。
減少傾向にある「第一分野」
生命保険は、本来死亡や病気・ケガなどに備えるのが目的である。
万が一の死亡に備える保険には、終身保険・定期保険・養老保険などがあるが、それらを「第一分野」と呼ぶ。
一方医療保険・がん保険・介護保険など病気や、介護に備える保険を「第三分野」と言う。
自動車保険や火災保険など「モノ」の損害を補償する損害保険は「第二分野」と言います。
戦後の経済発展と人口増加を背景に生命保険は急速に普及した。
1970年代には生命保険の世帯加入率は90%を超え、万が一のことがあった場合に残された家族を支える「第一分野」の商品が中心に市場が伸びていました。
死亡保険の総保障額である「保有契約高」は右肩上がりに拡大していったが、1996年度をピークに頭打ちとなっていて、それ以後は徐々に減少傾向に転じて現在もその傾向は変わっていない。
それに変わって1990年代後半から伸びてきたのが、医療保険やがん保険など「第三分野」の商品である。
生命保険ビジネスとして考えると、「第一分野」の生命保険マーケットは衰退期に入ってるのだ。
これからの中心は第三分野
医療保険やがん保険は病気やケガをした際の入院・手術などのリスクに備える保険で、第一分野とは違い、生きているうちに受け取る事のできる保険である。
個人保険の新規契約件数に占める医療・がん保険の割合を見ると、2000年度の23%から2014年度の37%まで上昇し、生命保険市場の中でも中心的商品となっている。
医療保険やがん保険は近年開発が進み、様々な商品が販売されている。
従来の掛け捨てではなく、貯蓄性のある医療保険やがん保険、持病を持っている人でも加入できる審査が緩和されている医療保険などがある。
また健康診断結果に問題が無くても、非喫煙の人はさらに安くなる商品も販売されいる。
そして、今後確実に商品開発が進む分野が「介護保険」だろう。
現在、「介護保険」に力をいれている保険会社はごく僅かしかない。
すでに問題に取り上げられている年金、介護、医療などの「社会保障問題」は、これまで国が担ってきたセーフティネットが限界にきている事を意味している。
従来は国の保障が行き届かない所を、民間の保険会社がサービスとして提供していたが、国の保障は縮小する事はあっても、拡大する見込みはない。
今後ますます保険会社の役割が大きくなってくるだろう。
その中心は間違いなく「医療保険」「介護保険」になるはずである。
今まさに問題になり始めている。
例えば実際に「介護」の準備をしている人がどのくらいいるだろうか。
多くの人は特別な準備をしていない。
そこに保険会社としての戦略上のビジネスチャンスがある。
同時に、1保険営業マンとしてもチャンスがある。
なぜなら、「介護保険」をきちんと販売している営業マン自体が殆どいないから。
死亡保障、医療、ガンと並んで介護保険に関する情報提供も今後必要になってくるだろう。
保険営業マンのマーケティングでも書いたが、きちんとした理論をを元に、正しい努力をしなければ決して保険など売れる時代ではないのだ。
日本経済の影響
2016年1月29日にマイナス金利導入の影響で、長期国債で巨額を運用する生命保険会社は、リターンが大幅に低下することになります。
長期国債の利回りが低下する事でどのような影響があるのか?
実際10年国債が−0.3%まで落ち込みました。それは保険会社にどのような影響をあたえるのか考えてみます。保険会社はお客様からお預かりした保険料の大部分を運用しています。その運用益があるからこそ、保険金を約束しながら、お客様に保険料を返す(解約返戻金や満期保険金)事が出来る訳です。当然、運用益を見込んで各商品ごとの保険料も算出しています。保険料の算出方法は非常に複雑ですが、簡単に説明すると、死亡率、運営コスト、運用利回りの3つの要素で計算されています。つまり運用利回りが下がると保険料や解約返戻金に大きく影響する事になります。
さらに、保険会社は殆どの資金を元本保証されている長期国債で運用しています。30年国債や10年国債です。その利回りがマイナスになるという異常事態になっていまうと、見込んでいた運用益が得られなくなるのです。しかし、保険契約は「保険会社」と「契約者」の厳密な契約です。見込んでいた運用益がないからといって保険金を下げたり、一度約束した利率を下げる事は出来ないのです。
バブル崩壊後破綻した保険会社は、まさに運用利回りの低下による「逆ざや」体質が問題でした。お客様に約束した利率(予定利率)よりも、遥かに低い運用益しか出ず破綻したのです。超低金利時代突入による運用益の減少が原因です。
不当な保険金未払いなども事件になりました。約束した保険金や解約返戻金を下げる事はできません。しかし、支払い査定を厳しくしてわざと「支払い事由」に該当しないとして保険金を支払わないケースが問題となった事件です。
現在ではバブル以降の「逆ざや」体質は解消しているものの、マイナス金利によって保険会社の運用益は確実に減少します。実際、多くの保険会社が予定利率を下げています。また支払った保険料を運用だけしてお客様に支払うタイプの「一時払い」商品は殆どの会社で発売中止となっています。
今の日本経済が保険会社に与える影響は非常に大きいのです。