保険営業における目的は、「紹介入手」です。
契約を目的とするのではなく、
紹介入手を目的としなければ、仕事を継続し続ける事はできなくなるからです。
契約率とは、
アポイントに対して、どの位の契約数を獲得できるかのレート
です。
10人会って、5人契約になるなら契約率は50%になる。
単純な話だが、契約率40%を目指せという指導が業界内では、
当たり前のようになっています。
しかし契約率40%の基準は、
非常に危険だと思う。
保険を販売し続けている、トップセールスの契約率は、
100%に近いからです。
10人中6人も断られてプロの営業マンですといえるだろうか
という事です。
断られることがほとんどないからこそ、
プロと呼べます。
契約率40%という数字は一体どこから来たのかというと、
外資系生保の新人の契約率です。
保険営業を始めたばかりの新人は、
まず自分の友人、知人、前職関係のリストからアポイントを取得します。
営業開始の当初は、金融知識、営業スキル含め未熟な場合が多いですから、
商談は上司の指導に基づく丸暗記や、型通りのセールスに終始します。
その新人が契約率40%ならまずまずだというのが業界内の常識として
認知されています。
つまり、契約率40%という数字は、
新人が自分の友人に、丸暗記の保険営業をした場合の目標契約率である
ということです。
いわゆる売れる保険営業マンを目指すなら、
100%の契約率を目指すべきでしょう。
告知事項や、親が保険屋で切り替えられないなどの
然るべき理由がない限り、契約になるのがトップセールスです。
たくさんの指導をしている中で、
本当に多くの営業マンが契約率を下げる行動を
しまくっていることに驚きます。
そのレベルの指導しかされていない現状があるのでしょう。
10年以上前ならまだ売れるかもしれませんが、
今の時代には到底売れない、煙たがらあれる、
信頼されない営業手法がいまだに指導されています。
例えば、ファクトファインディングなどは、
その最たる例です。
多くの保険会社は、
ファクトファインディングをセールスプロセスの
重要な要素として位置付けています。
しかし、そんなことをしても契約率は上がる
どころか下がる一方です。
ファクトファインディングとは、俗にFFと呼ばれています。
見込み客の、ニーズを把握するための手法です。
家族構成や収入、貯蓄状況、将来設計などを聞くことで、
オーダーメイドの保険プランを作れますので、
より説得力を上げるためのプロセスです。
しかし残念ながらFFでは説得力は上がりません。
どこの保険会社もやっているからです。
世間はありふれたことに対してありがたみを感じません。
その辺の保険の窓口にでも行けば、
いつでも詳細なライフプランを分析できる時代に、
わざわざ対面で時間をとってFFをとったところで、
ありがたがる見込み客などほとんどいない時代なのです。
そして、多くの営業マンはFFを勘違いしています。
数字を聞き取ろうとしている点です。
FFをする際にはどうしても数字を知る必要があります。
収入や、貯金額、家族の年齢や勤続年数などです。
しかし数字などどうでも良いです。
少なくとも見込み客はそんな事は求めていません。
現実に、いくら詳細にFFを取得したところで、
契約率は上がっていませんから。
それよりも、見込み客の「気持ちや感情」を
聞き取ることが重要です。
聞き取るだけで良いです。
聞くだけです。
それだけで説得力は高まり、契約率は上がります。
「この営業マンは、
自分のことを100%理解している」
という確信を持たせるのが真のFFの目的です。
実際のプランに見込み客の年収を反映させているかどうかなど
全くと言って良いほど関係ありません。
実際、私は見込み客の年収や貯金額など聞きません。
自然とそういう話題になる事はあっても、
こちらからわざわざ聞く事は一切しません。
そんな情報は全く必要ないセールスプロセスだからです。
大事なのは、
見込み客に「この営業マンは自分のことを100%理解している」
と確信を持たせることです。
それだけです。
どのような手法を使ってもその心理状態さえ作り出せば、
営業マンが持って言ったプランに加入したくなるのです。
人間は感情の生き物です。
「あの人は親身に自分の話を聞いてくれた。
あの人の保険なら自分達にぴったりなプランだろう」
と考えるのが普通です。
聞き上手とは、そういう意味です。
相手の話を正確に理解することでも、
相手のデータを集めることでもありません。
相手が、自分の事を分かってくれたと
感じる「聞き方」をするということが大事なのです。
例えば、
貯金額が100万円ある独身女性がいるとします。
貯金が100万円あるというデータを収集して終わる
営業マンは売れません。
その背景にある見込み客の感情を引き出します。
「本当はもっと貯金したいが、ついつい洋服に使ってしまう」
「親への仕送りのためにあまり貯金は出来ていない」
「理由は分からないが、気づいたら給料日前にすっからかんになる」
などの理由が必ずあるはずです。
あなたはそれに共感してどんどん深掘りしていきます。
見込み客「本当はもっと貯金したいが、ついつい洋服に使ってしまう」
あなた「洋服がお好きなのですか?」
見込み客「洋服が好きです」
あなた「好きなブランドやお店があるんですか?」
見込み客「よく行く好きなお店があるんです」
あなた「そういうお店ではついつい買ってしまいますよね」
見込み客「そうです。つい買っちゃうんですよね」
あなた「昔からですか?」
見込み客「仕事が忙しくて、洋服買うのがストレス発散になるんです」
あなた「お仕事大変なんですね。どのあたりが大変何ですか?」
という具合に、どんどん話を深掘りしていきます。
深掘りして行くことが大事です。
表面的な会話では分からない、
見込み客の感情や価値観を引き出すことができるからです。
そのキーワードは見込み客にとって重要なキーワードです。
そして、その気持ちを理解している事をアピールする事で、
見込み客はあなたを心から信用できると考えます。
「ストレスを貯めるよりは、洋服で発散した方が良いですよね」
とか
「私もストレス発散のために、良く焼肉食べますよ」
など、相手のキーワードを引き出して共感する
というプロセスを踏むだけで、
あなたは見込み客にとって、よき理解者となることができます。
キーワードが、相手にとって重要なキーワードで
あればあるほど効果があります。
上記の例は、一例ですが、
大事なのは、単に数字を聞き出したところで、
見込み客はあなたのことを信用しません。
ましてや保険プランに説得力など生まれません。
あなた自身が見込み客のことを100%理解していると
思われていることが何より重要だと言うことです。
そのためには、会話の深掘りが必要です。
ファクトファインディング
とは、見込み客の重要なキーワードを引き出す作業なのです。